過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員らが最後まで立てこもるシリア東部の村バグズで、米軍などの支援を受ける武装組織が10日に攻撃を再開し、激しい戦闘になっている。最盛期にはシリアとイラクの3分の1を勢力下に置いたISから支配地域を奪還する軍事作戦は最終局面に入った。
IS掃討作戦にあたる少数民族クルド人を中心とする武装組織「シリア民主軍」(SDF)の報道官は10日のツイッターで、「ISに降伏のために与えた時間は終わった」とし、同日午後6時から、IS最後の拠点に対する攻撃を再開したことを明らかにした。ISの武器庫を狙った空爆などが始まっているという。SDFがバグズを制圧すれば、米国を中心とする有志連合によるIS掃討作戦は大きな節目を迎える。
先月初旬までにバグズにISを追い詰めたSDFは作戦を一時中断。SDFによると、作戦中断の間に人質になっていた市民数万人を避難させ、4千人以上のIS戦闘員が降伏したという。降伏を拒んで立てこもるIS戦闘員やその家族の数はよくわかっていない。
トランプ米大統領はバグズでの作戦完了を待たず、先月28日の演説で、IS支配地域を「100%制圧した」と宣言した。トランプ氏は昨年12月、選挙公約のシリアからの米軍全面撤退を表明したが、ISの脅威は残ることなどから国内外から反対が噴出。駐留継続を明らかにし、米兵約400人がシリアに残ると報じられている。(イスタンブール=其山史晃)