成年後見制度は超高齢社会を支える大切な仕組みです。しかし、認知症高齢者は500万人を超すと言われているのに、利用は約21万人(2017年12月)と伸び悩んでいます。なぜなのでしょうか。取材をすると、利用を阻むいくつもの「壁」があることがわかりました。 親が認知症で口座凍結? 焦って銀行へ「ドキドキした」 第1の壁=費用が高い 「成年後見人を頼んで、毎月3万円も4万円も報酬でとられたら…。とても暮らしていけないですよ」 横浜市の86歳男性はそう語った。男性の妻は、重い認知症で特別養護老人ホームに入居している。成年後見制度の利用を検討したのは、値上がりした入居費をまかなうため、妻名義となっている自宅の売却を考えたときだ。 子どもはいないので、最初は夫である自分が後見人になるつもりだった。ところが相談した福祉関係者から「80歳以上の高齢の配偶者は選ばれないだろう」と言われた。弁護士や司法書士ら専門職の後見人に対する報酬額を新聞記事でみて、利用を断念した。 裁判所が示す「めやす」によれば、成年後見人の基本報酬は月2万円。財産額が1千万円超5千万円以下なら月3万~4万円、5千万円超なら月5万~6万円とされる。このほか申立時に判断能力の鑑定が実施されたら、一般に5万~10万円程度の費用もかかるという。年金暮らしの高齢者にとって重い負担であることは間違いない。 低所得の高齢者に成年後見の申し立て費用や報酬を助成する公的な仕組み(成年後見制度利用支援事業)はあり、厚生労働省によると全市区町村の約8割が実施している(2016年4月現在)。ただし実施率には都道府県によってかなりの開きがある。対象も「生活保護に準じる」など、かなり限定的だ。さらなる拡充が期待される。 第2の壁=見知らぬ専門家が後見人になる 家族が後見人になれば報酬もかからないのでは。そう考える人は少なくないかも知れない。だが実際には後見人はあくまで裁判所が決めるので、家族がやりたいと望んでも必ず選ばれるとは限らない。 「今思い出しても腹がたつ」。首都圏に住む男性(88)は5年前に成年後見制度の利用を申し立てたときのことをこう振り返る。 認知症が進んだ妻の後見人にな… |
家族は後見人になれない?成年後見の利用を阻む四つの壁
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
大腸がん発見で在宅支援を見直し コータリンは要介護5
70代の認知症割合、6年で6%減 政府初の数値目標
奥深い、車いすクッションの世界 コータリンは要介護5
帰省時、親の家ここをチェック 犯罪や転倒事故から守る
介護保険料、初の10万円超 3年後には13万円台に
成年後見人の報酬、業務や難易度の考慮を 最高裁が通知
成年後見人には「親族が望ましい」 最高裁、考え方示す
慣れ親しんだ言葉と文化で 残留邦人の介護、2世ら協力
マンションの一室、「無届け」老人ホーム その実態は
介護事業者、倒産数高止まり 離職防ぐ給与増が経営圧迫
国立長寿医療研に300床の新病棟 愛知、22年開院へ
母に手を上げ、あふれた涙 「認知症かも」の前に準備を
用水路での死亡、年100人超 目立つ岡山・富山・埼玉
水深7センチでも溺死 狭い用水路、進まぬ対策
ぬれた床、散らかった部屋 解剖記録が物語る自宅の危険
訪問介護の間にペットの世話も可 厚労省がルール明確化
「怖さ」ばかり強調される認知症、当事者が思いを語る
介護の人手不足、9割弱が「採用困難」理由 事業所調査
特養の6割超が介護人材不足 空床あるのに受け入れ制限
「ペロペロするぞ」 密室の介護、セクハラ被害どう防ぐ
介護現場のセクハラ被害、対策マニュアル作成へ 厚労省