米ボーイングの最新鋭小型機「737MAX」2機が相次ぎ墜落した事故をめぐり、同型機の安全性に「お墨付き」を与えた米連邦航空局(FAA)が、同社や米航空業界と適切な距離を保ってきたのかが問われ始めている。業界が声をそろえて事故後の運航停止を渋ったことも疑念を招いている。規制する側とされる側に、なれ合いはなかったのか。
安全性評価、ボーイングに丸投げ? 墜落事故で新疑惑
「航空史上、米国は世界のリーダーであり続けてきた。しかし今、その信頼は損なわれている」
ある元パイロットが米メディアに投稿した一文が話題を集めている。チェスリー・サレンバーガー氏。10年前、離陸直後に両エンジンが故障した旅客機を米ニューヨークのハドソン川に無事に不時着させ、「ハドソン川の奇跡」として称賛を浴びた元機長だ。
彼が批判の矛先を向けるのは、737MAXの運航を2017年に認めたFAAの認証手続きだ。インドネシアとエチオピアでの事故原因として疑われている失速防止システムは、安全性の評価がボーイング側に委ねられ、審査で大きな問題になることはなかった。「規制する当局と業界の間が、あまりにも心地よい関係になってしまっている」
当時はボーイング最大のライバ…