小池百合子・東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、初の統一地方選で正念場を迎えている。追加公認を含め55議席を得た2017年の都議選から一転、都内46区市町村議選のうち17区市議選に計28人しか公認候補を立てていない。小池氏も前面に出ず、都議を中心に地道な選挙戦を進めている。
16日午前、小池氏は渋谷区長選候補者の選挙事務所を訪れ、「がんばってください」と握手を交わした。候補者は無所属で、都民ファーストとは直接関係ない。小池氏は「前からの友人なので」と記者団に説明し、都民ファースト公認候補の応援について尋ねられると「頑張ってほしい」と答えるにとどめた。
風向きが変わったのは、17年10月の衆院選。小池氏は希望の党を率いて臨んだが、惨敗した。翌月の葛飾区議選(定数40)で、都民ファーストの公認5人のうち4人が落選し、失速があらわになった。その後、都内の選挙でも苦戦を続け、「都議選のような風はもう吹かない」(幹部)として公認を絞る方向に転じた。
統一地方選の公認候補は、小池氏が立ち上げた政治塾「希望の塾」の塾生や都議の秘書らが目立ち、新顔が半数ほどを占める。ただ、大半の議員選で公認候補は1人か2人。落選者の数を抑えるためというが、計28人では、都内で計392人を公認した自民党の1割にも満たない。都民ファーストの若手都議は「これでは全員当選しても胸を張れない」とこぼす。
都のトップ小池氏の応援は、新顔たちの知名度向上につながるが、市区議選の公認候補に対し、街頭演説など表立った応援活動をしていない。都民ファースト内から「負けたときにやけどをしないためでは」といぶかる声もあがる。議員選に初めて挑戦した女性は「少しでも多くの人と握手を交わすなど風に頼らずに戦うしかない」と話す。
知事の任期満了まであと1年3カ月。2年後には再び都議選もある。ベテラン都議の一人は「最後はやっぱり、『小池旋風』がまた吹くのを待つしかない」と漏らす。(西村奈緒美)