海外に行けるのは2期目から、欧米を選べるのは3期目から――。長崎市議会の海外視察をめぐる決まりだ。海外事例を研究し、市政に還元することに期数の多寡は関係ないはずだが、期数の区別は少なくとも40年以上続く。なぜこんなルールがあるのか。市議選のさなかに探ってみた。
現職の女性市議は3回目の当選を果たした直後の2015年11月、スウェーデンとフィンランドを7日間の日程で訪れた。北欧の社会保障制度の現場を視察するため。A4判17ページ分の報告書を作成した。3期目になったから認められた北欧だが、この市議は「『やっと行けた』という意識は特になかった」と話す。
長崎市議会では議会運営委員会の取り決めで、議会の予算で海外視察に行ける議員は2期目以上に限っている。予算や対象地域も文書で細かく規定され、2期目なら中国や東南アジアで予算は上限30万円、3期目以上なら欧米などで上限100万円。4年間の任期中に行けるのは1回限りだ。
18年度は4期~10期の計6人がスウェーデン、フィンランド、オランダ、フランス、ポルトガル、マレーシアの6カ国に出かけた。17年度は計17人がベトナム、中国、タイを訪問した。中国には1期目の2人も行ったが、「会派から1人ずつ出席」とされた議員間交流が目的だったため「例外」扱い。それ以外は取り決め通りに行われた。18年度の海外視察費用は総額約340万円だった。
議会事務局によると、共産党会派からは海外視察自体に反対する意見が出ているが、期数による差別化の見直しについて再検討したことは近年なく、事務局も取り決めができた詳しい経緯はわからないという。
議会事務局が過去の資料に当た…