公明党が、大阪府知事・大阪市長のダブル選で大敗した余波に揺れている。大阪維新の会との対立関係が、次期衆院選などに影響する懸念があるからだ。今後は、ダブル選のきっかけとなった「大阪都構想」への対応が焦点となる。
衆院大阪16区選出の公明党の北側一雄副代表は11日の記者会見で、「衆院選はいつあるか分からない。今あれこれ申し上げる状況ではない」と述べた。維新側が公明現職のいる選挙区に公認候補を擁立する方針を示されたことを問われ、答えたものだ。
公明は2011年と15年にもあった大阪ダブル選で「自主投票」を選択。維新側も公明が公認候補を擁立した衆院の大阪と兵庫の計六つの選挙区での候補者擁立を控えてきた。
ところが、都構想の是非を問う住民投票の実施時期をめぐり、公明は維新と対立。7日投開票のダブル選で自民党推薦候補に「府本部推薦」を出して戦った。
これに維新の橋下徹・前代表がフジテレビの情報番組で「公明党を壊滅させるというところまでやる」と反発。維新政調会長の吉村洋文・大阪府知事も「民意が無視されるなら、6選挙区を含めて維新が立てない理由はない」と牽制(けんせい)した。
大阪選出の公明衆院議員の一人は「国政と地方選は違う」と強気の姿勢を示すが、大阪以外の議員からは「民意が出たのに(都構想の住民投票に)反対も何もない」との声も上がる。公明府議団の八重樫善幸幹事長は10日、記者団に「民意を重く受けとめる」とし、都構想について「またさらに(議論を)深めていけばいい」との考えを示した。
公明は5年前にも橋下氏から衆院選で対立候補になると挑発され、15年の住民投票実施に協力した経緯がある。北側氏は11日の会見で「大阪の問題については、府議会・市議会とよく相談して方向性は検討していきたい」と語るにとどめた。支持母体の関西創価学会幹部は「都構想の住民投票に向けてどう対応するか、頭が痛い」と話す。(坂本純也、今野忍)