2016年の米大統領選でロシアがトランプ大統領の陣営に肩入れしたとされる「ロシア疑惑」をめぐり、マラー特別検察官がまとめた捜査報告書が公表されました。ロシア疑惑は、トランプ氏の進退問題になりうるとして米国では注目を集めています。ロシア疑惑をはじめ、さまざまな言動が物議を醸し、米国でも支持しない人が目立つトランプ氏ですが、そもそも米国の大統領を辞めさせることはできるのでしょうか。弁護士で日米の刑事司法に詳しい島伸一・駿河台大学名誉教授に聞きました。
――まず、現職大統領が犯罪をおかした場合に裁くことはできるのでしょうか。
「現職大統領の訴追の可否は法令に定められておらず、判例もありません。ただ、司法省は、現職大統領の刑事訴追はできないという立場を取ります。そもそもマラー特別検察官自身も司法省によって任命されている経緯があり、司法省の立場を超えることができない事情があります」
――罪に問えなくても、辞めさ…