全身の筋力が低下する筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う埼玉県吉川市の男性が、同市職員に侮辱的な発言を受けたとして市に抗議している問題で、中原恵人市長は19日、「不適切な表現だった」と謝罪する談話を発表した。
この問題は、市障がい福祉課の職員が、訪問介護の調査で12日にALS患者の高田泰洋さん(43)方を訪れた際、高田さんが目の動きで文字盤を追って答えようとすると「時間稼ぎですか」と発言したというもの。同席していた代理人弁護士が抗議したが、職員から謝罪はなかったという。
中原市長は談話で、職員の発言を「不適切な表現であり、ご本人をはじめ関係者の皆様に大変ご不快な思いをさせてしまう結果となってしまいました」と陳謝。職員の処分に向けて調査する方針を明らかにした。市は代理人弁護士に同趣旨の文書を18日に郵送。幹部が高田さんに直接謝罪もする意向だ。
高田さんは代理人弁護士を通じて「市に愛着があるからこその抗議でもありました。今後の市政運営に期待します」とコメント。代理人は「謝罪と再発防止の誓約があったことは一定の評価をします」としている。(米沢信義)