一度は脱いだスパイクを、再び履いた。
サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)に選ばれ、フランス・リヨンでは欧州チャンピオンズリーグ優勝メンバーにもなった大滝麻未(29)。25歳で現役引退したが、2020年東京五輪代表を目標に、2年前に復帰した。入学が難しい国際サッカー連盟(FIFA)運営の大学院「FIFAマスター」の修了者でもあるFW。今季から、なでしこリーグ1部のジェフユナイテッド市原・千葉レディースでプレーする。
「2020年の東京五輪を目指してみたら?それでみんなで東京で集まりましょう」。大滝がユニホームを脱ぎ、16年9月からFIFAマスターで学んでいたときのこと。一緒に勉強していた仲間から、自国開催の五輪出場を目指してみるように背中を押された。
世界各地から人が募る、難関なFIFAマスター。イングランド、イタリア、スイスを移動しながら世界各地のスポーツの歴史、経営戦略、法律を学ぶ。修了者は国際オリンピック委員会(IOC)やスポーツ関連事業に携わることが多い。ところが、大滝は異例の現役復帰を決めた。
12年に早大からリヨンに加入し、15年にフランス1部チームで引退していた。「小さい頃から夢だった海外でプレーすることがかなって、ちょっと燃え尽きた。その先の目標がなかった」と明かす。ただ、「サッカーにはすごい感謝をしていた」。人気が冷めつつあった女子サッカー。それをなんとかしたいと思い、FIFAマスターへの入学を決意。5回ほどの小論文の提出と面接を経て約500人の受験者から、約30人の合格者に選ばれた。
FIFAマスターでは、マンチ…