内戦下のシリアで先月以降、燃料不足が深刻化し、市民生活を圧迫している。米トランプ政権がシリアへの禁輸に加え、主な燃料調達元だったイランに対する経済制裁も再開したためだ。軍事的優勢を確実にしたアサド政権だが、国内の不満は高まっている。
朝日新聞の電話取材に応じた市民らによると、アサド政権は4月中旬、国土の約6割に上る支配地域を対象に、政府の補助金が入った廉価な石油の販売を制限(車1台につき100リットルまで)し始めた。ただ、状況は今月も改善せず、各地で数百メートルに及ぶ給油待ちの車列ができている。都市部のバスの便数も減り、タクシーの乗車価格は2~3倍に高騰しているという。
北部の商都アレッポで裁縫業を営むアフマドさん(33)はミシンを動かす発電機に入れる燃料がなく、一時休業を余儀なくされた。今月になって工場を再開したが、補助金対象外で6割以上高い石油を購入し、不足分を補っている。「コストは商品価格に上乗せせざるを得ない。国民は、問題を解決できない政府に怒っているが、拘束されたくないので文句は言えない」と語った。
4月中旬に首都ダマスカス中心…