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第77期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第4局が16、17日、福岡県飯塚市の麻生大浦荘で行われ、挑戦者の豊島将之二冠(29)が佐藤天彦名人(31)に勝ち、4連勝で初めて名人位を獲得した。平成生まれの棋士が名人になるのは初めて。
時系列の詳報「タイムライン」 第4局1日目の様子はこちら
10代から将来嘱望
新名人になった豊島将之二冠=2019年5月17日午後9時1分、福岡県飯塚市、堀英治撮影
豊島挑戦者は愛知県一宮市出身。日本将棋連盟関西本部に所属し、10代の頃から将来を嘱望されてきた。昨年、棋聖と王位のタイトルを立て続けに獲得。その勢いのまま、将棋界の頂点に立った。
初挑戦となった今回の名人戦は、千日手(引き分け)で指し直しとなった第1局から第3局まで3連勝。熱戦となった第4局も制して、一気に勝負を決めた。
3連覇中だった佐藤名人は無冠になった。
名人を奪取した豊島二冠。豊川孝弘七段のだじゃれを効かせた解説動画や勝負メシ、専門記者の解説などを交えて、新名人誕生までの軌跡を紹介します。
めざせ名人、豊島二冠
名人を目指す豊島二冠の歩みを写真で振り返ります。新四段のころの初々しい姿も
重なる3月のライオン
挑戦者の豊島二冠が佐藤名人を4連勝で破り、名人を獲得した。長年活躍を期待されてきた俊英が、昨夏に初タイトルを獲得してから、1年足らずで将棋界の頂点に駆け上がった。
「結果を出せて良かった」。ビッグタイトルを手にしたにも関わらず、終局直後の豊島二冠は驚くほど落ち着いていた。
名人戦初挑戦ながら、隙のない戦いぶりだった。第1局は序盤で千日手(引き分け)に持ち込み、指し直し局では先手番を握って快勝。第3局の終盤では、鋭い踏み込みで佐藤名人のミスを誘い、勝利をもぎ取った。豊島二冠は、日頃の研究の深さと終盤の切れ味に定評がある。その強みを、大舞台で遺憾なく発揮した。
少年の頃から大器と目されてきた。9歳で棋士養成機関「奨励会」に入り、16歳でプロ入り。進学した関西大文学部を中退して「将棋一筋」の道を選び、20歳で初めてタイトル戦に出場した。だが、タイトルにはなかなか手が届かない。もどかしい日々が続いた。
飛躍の契機となったのは、人工…