|
ワイドショー登場・グッズ販売…ブームがきた
扇子、クリアファイル、アクリルキーホルダーなど、藤井聡太七段グッズが並ぶ関西将棋会館1階の販売コーナー=大阪市福島区 [PR] 藤井聡太 名人への道 「藤井君にお礼を言っておいてください。将棋教室に来る子どもたちが増えたんです」 2017年夏、当時四段だった藤井聡太(そうた)七段(16)がプロデビューから公式戦29連勝という新記録を達成すると、師匠の杉本昌隆七段(50)は、関西の棋士仲間から度々そう感謝されるようになった。この年の将棋日本シリーズこども大会には計1万2千人超の子どもたちが参加。過去最多を記録した。 振り駒に恵まれず、なぜか後手番が続くなか、デビュー後の連勝を続けた藤井七段。それでも将棋一本か進学かで揺れ、タイトル戦にはあと一歩まで近づいたものの届きませんでした。そして「夢だった」と語る羽生九段との一戦を迎えます。連載「大志 藤井聡太のいる時代」挑戦編(全10回)をお届けします。 将棋界は16年秋~17年初め、将棋ソフトの不正使用疑惑に揺れた。疑惑は晴れたが、なおも沈滞する雰囲気を藤井ブームが一気に吹き払った。 新たなファンが増えたのは、藤井七段が登場する将棋イベントを見れば一目瞭然だった。昔は男性ばかりだった客席に女性の姿が増えた。「テレビのワイドショーで取り上げられたのも大きかった」。日本将棋連盟常務理事の脇謙二・八段(58)はそうみる。「取材への受け答えも良かった。藤井七段は負けても悔しさをあらわにせず淡々として、勝っても威張ったりしませんしね」 連盟が発売した藤井グッズは扇子やクリアファイル、茶碗(ちゃわん)・湯呑(ゆのみ)セット、Tシャツ、パズルなど十数点。「お母さん世代に喜んでもらえるのでは」と、藤井七段の写真をあしらった「温度計付マグネット」も作られた。 棋士のグッズで定番の扇子は通常、八段昇段時やタイトル獲得時に制作される。四段での扇子制作は異例だ。一方で、ファンからはさらに多くの藤井グッズを望む声もある。このアイテム数には、過熱人気に応える一方、「まだ中高生でもあり、過度にならないように」という連盟の配慮ものぞく。 地元フィーバー、「名古屋に将棋会館」の声も
商店街の空き店舗のシャッターに藤井聡太七段の対局を再現して応援する人たち=2018年5月、愛知県瀬戸市 愛知県瀬戸市のせと銀座通り商店街では、空き店舗のシャッターに将棋の大盤を描き、藤井聡太(そうた)七段(16)の対局を中継している。 商店街で婦人服店を営む飯島加奈(37)が2017年夏に始めた。当初は将棋のルールさえ知らなかったが、「地元の藤井七段の快進撃に魅せられた」と振り返る。シャッターに描かれた大盤の周りには応援のメッセージがぎっしり。休日には全国からファンらが訪れる。 藤井が暮らす瀬戸市は、藤井フィーバーに沸く。古くからやきものの産地で知られるが、いまではすっかり「藤井七段の地元」だ。 公式戦「29連勝」の達成後、市は子どもの将棋大会を新たに設け、昨年3月には初となる市民栄誉賞を贈った。愛知県も特別表彰している。 昨夏には市や地元企業などが中心になり、藤井への応援などを目的とする瀬戸将棋文化振興協会を設立した。 会員はわずか半年足らずで450人近く集まり、市外の会員も4割いる。日本将棋連盟の支部にも登録し、「将棋のまち」で有名な山形県天童市の天童支部を抜き、会員数は日本一だ。協会の担当者は「市外には宣伝していないが、藤井七段の活躍が報道されると全国から問い合わせがくる」と驚く。 「藤井七段が東京に行ってまうといかん。名古屋城の見えるところで対局できんか」。名古屋市の河村たかし市長らからは「名古屋将棋会館」の構想も飛び出す。実現は未知数だが、現職市長の発言に、関係者らの期待は膨らむ一方だ。 将棋連盟の棋道師範で、将棋普及への貢献で13年に大山康晴賞を受賞した鬼頭孝生(きとうたかお)(77)=名古屋市=は「将棋会館は東海地方の悲願。実現できれば感無量です」と話す。 「振り駒」には弱い?なぜか続く後手番
新人王戦の準々決勝で敗れた、当時四段の藤井聡太七段(右)。この対局でも後手番だった=2017年9月、東京都渋谷区 2017年夏。当時四段の藤井聡太七段(16)は、「公式戦29連勝」で注目を集める一方、「運のなさ」もささやかれるようになった。対局の際、後手番になることが目立ったためだ。 29連勝中、事前に手番が決まっている順位戦1局を含め、後手番は17局。6割弱の割合だが、8局連続の時もあった。7~9月、新人王戦など若手が対象となる三つのトーナメントで敗れて「初優勝」の機会を逃したが、それらも後手番。対局直前、藤井の後手番が決まると、「まただ」というコメントがネット中継の画面に流れる。 先手番か後手番かは通常、「振り駒」で決める。両対局者が駒を並べた後、記録係が上位者の歩5枚を取って手の中で振り、畳の上にまく。表が多く出たら、上位者が先手番、裏の「と金」が多く出たら、上位者が後手番だ。先に指す先手番が主導権を握りやすいため、17年度の公式戦では、先手番の勝率が5割2分9厘だった。 藤井の先手番の通算勝率は8割8分9厘。後手番でも8割2分9厘と高いが、先手番より落ちる。藤井の将棋を紹介する書籍で解説を務めた村山慈明(やすあき)七段(34)は「後手番の時、相手の方針についていく指し方を選ぶ印象がある」と分析する。一流棋士との対戦では、先手番の相手のペースにのせられ、押し切られたこともしばしばあった。 だが、今年の朝日杯将棋オープン戦では、その印象を変える快進撃を見せた。すべて後手番だった藤井は4連勝で優勝、決勝では渡辺明二冠(34)に快勝した。「運の強さ」はともかく、将棋の技術においてはさらなる成長を印象づけている。 ただ、次の朝日杯への意欲を問われた藤井は、こう答えている。「今年は本戦ですべて後手番だったので、来年は少しは先手番が欲しいです」 将棋一本か進学か、心は揺れた
師匠の杉本昌隆七段(左)らと局面を検討する藤井聡太七段(中央)=2018年5月30日午後、名古屋市中区の万松寺、吉本美奈子撮影 「棋士に学歴は必要ない」 杉本昌隆八段(50)は、棋士… |
相手は夢の羽生先生 藤井聡太が打った手裏剣のような歩
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
プロ続々「棋士のまち」 子どもの夢育む土壌に
姉妹でめざせプロ棋士 久保利明九段の娘、父の背中追う
対局の席次、上座の譲り争いで神経戦 合理的な藤井七段
藤井聡太、ネット対戦15局 「王座」相手に脅威の成長
藤井七段、47手で勝利 順位戦では異例の午前中終局
将棋の新鋭プロが必ず通るアマの関門 洗礼受けた強豪も
藤井七段、竜王挑戦権まであと5勝 初タイトル戦に期待
藤井聡太七段に続け 棋士めざす天才少年たちの素顔は?
扇子の揮毫、言葉選びには葛藤も 藤井七段の揮毫は……
里見女流四冠、女流王位奪取 「クイーン王位」称号獲得
藤井七段、棋聖戦一次予選で連勝 二次予選まであと1勝
昇級の杉本八段「弟子に刺激受けた」 藤井七段から花束
藤井七段の対局始まる 竜王戦3期連続決勝T進出なるか
羽生九段の対局始まる 史上単独1位の1434勝かけ
幼少期の2人、藤井七段が「動」なら豊島新名人は「静」
豊島新名人、愛称は「きゅん」 重なる3月のライオン
豊島二冠が名人奪取、三冠に 平成生まれ初の名人誕生
敗れた佐藤名人の1五銀 思い出す大山十五世名人の一戦
豊島新名人「藤井七段と戦ってみたい」 対局から一夜
【速報中】検討室は「豊島二冠リード」 決着はまだ先か
【速報中】豊島二冠の決断が契機、派手な立ち回り演じる
【速報中】佐藤名人、徹底した「待機」策 探る豊島二冠
【速報中】豊島二冠が長考、昼食休憩の時間も考慮か
藤井七段、令和初の公式戦対局 王将戦
予期せぬ千日手の裏に人間ドラマ 弟子の藤井七段とも














