着工から137年の歳月を経て、今も建設が続くスペイン・バルセロナの世界遺産サグラダ・ファミリア教会。その建築許可が今月7日にようやくおりたというニュースが世界を驚かせました。7年後の完成が予定されていますが、そもそもどうしてこんなに年月がかかっているのでしょう。3世紀にまたがる建設では、日本人も大きな役割を果たしていました。
サグラダ・ファミリアはスペイン語で「聖家族」を意味し、キリスト教の「神の子」イエス、聖母マリア、養父ヨセフの家族3人に捧げられた聖堂です。建築が始まったのは1882年。直線を排して波打つ外観の邸宅など独特なデザインで知られる、スペインの名建築家アントニオ・ガウディ(1852~1926年)が手がけたことでも知られています。完成すれば、高さ約170メートルの「イエスの塔」など18の塔と三つの正面玄関が並ぶ計画です。未完ですが、2005年には、完成した正面玄関の一つ「降誕のファサード」と地下聖堂がユネスコの世界文化遺産に登録されました。
「神はお急ぎでない」。ガウディが生前残したこんな言葉をもとに、かつては「いつ完成するか分からない」とも言われてきました。しかし、2000年代に入って工事が急ピッチで進み始め、今ではガウディの没後100年にあたる2026年の完成を目標にするまでになりました。
工期が大幅に短くなった背景について、ガウディを研究する神奈川大学名誉教授の鳥居徳敏さん(72)は二つの理由を挙げます。
一つは、観光客の増加です。ガ…