2014年にウクライナ東部を飛行中のマレーシア航空機が撃墜され、乗客・乗員計298人全員が死亡した事件で、オランダなどの国際合同捜査チームは19日、ロシアの情報機関や軍に所属していたロシア人の男3人とウクライナ人の男の計4人を殺人罪などで起訴すると発表した。最も犠牲者が多かったオランダの検察当局は「ロシア人容疑者の2人は当時、ロシア当局と連絡を取っていた」としている。
これが撃墜機のブラックボックス 原因究明へ
検察当局は4人の身柄を確保しておらず、顔写真を公開し、国際逮捕状を発行する。オランダの地元メディアによると、検察当局はロシア側が容疑者の引き渡しなど、裁判に協力する可能性は低いとみている。容疑者が出廷しなくても、来年3月に裁判を始める予定だという。
ロシア人3人のうち1人は事件当時、ウクライナの親ロシア派が支配する地域が自称していた「ドネツク人民共和国」で防衛大臣を名乗っていたイゴーリ・ギルキン容疑者。ロシア連邦保安局(FSB)の元大佐だという。他のロシア人2人はかつてロシア軍に所属していたとされる。ウクライナ人はドネツク地域の戦闘部隊の司令官だった。
訴追をめぐり、ロシア側は強く反発している。ロシア外務省は19日、「全く根拠のない訴追で、国際社会におけるロシアの信用を傷つけるためのものだ」とする声明を発表。合同捜査へのロシアの参加が拒否されたなどとして捜査の過程を強く批判した。
ノーボスチ通信によると、ギルキン容疑者は19日、ラジオのインタビューに「義勇軍は撃墜していない。それ以上はコメントしない」と話した。ロシア・メディアによると、ロシア国籍を持つ他の容疑者2人も現在ロシア在住。ロシアは外国への容疑者の引き渡しを憲法で禁じている。(ブリュッセル=津阪直樹、モスクワ=喜田尚)