東京電力福島第一原発事故で福島県を離れ、国家公務員住宅で暮らす自主避難者のうち、退去期限後も住み続けた5都府県の63世帯に対し、県が家賃の2倍の「損害金」を請求したことが9日、分かった。
県は、自主避難者への住宅の無償提供を2016年度末で打ち切った。県外の国家公務員住宅に避難し、転居先が決まらない世帯に限り、今年3月末までの2年間、家賃を払えば住めるようにした。その後、引っ越し先が決まらない世帯向けに相談会を開いてきた。
ただ、期限後も住み続けた場合、家賃の2倍の損害金が発生すると契約に盛り込まれており、今月8日付で63世帯に4月分の損害金、計約300万円の納付書を送った。1世帯当たりの損害金は2万~15万円。県は5月以降の分も今後請求する方針だ。
今月1日時点で国家公務員住宅で暮らす自主避難者は55世帯。避難者の支援団体「原発事故被害者団体連絡会」によると、病を患ったり収入が低かったりして転居がままならない世帯もあるといい、武藤類子共同代表は「県が非情な通知を出したことに驚く。最後まで寄り添ってほしい」と話した。(小泉浩樹)