東京電力福島第一原発があり、4月に一部の地域で避難指示が解除された福島県大熊町で7日、町役場が業務を再開した。原発事故から8年余り。大半の町民が今も故郷に戻れず、廃炉作業が進む中での再出発となった。
午前8時半、医療費を一部免除する証明書の再発行のため、避難先から来た配管工の渡部義輝さん(44)は「新しい町役場が大熊町の本格的な復興への第一歩になればと思っています」と話した。渡辺利綱町長は職員を前に「町民サービスの更なる向上と復興の加速化を目指して下さい」と呼びかけた。
原発事故後、大熊町は全住民が町外へ避難を強いられ、町役場も約100キロ離れた同県会津若松市に移ったが、4月10日、町西部で避難指示が解除。工事費約27億4千万円の新庁舎も完成した。ただ、解除されたのは町面積の約4割にあたる地域で、住民登録は全体の約4%、138世帯367人(3月末時点)。実際に戻ったのは一部にとどまる。避難者が残る会津若松市に役場機能の一部や小中学校を残すため、新庁舎で働くのは全職員約190人のうち、渡辺町長以下約110人という。
今回の再開で、自治体の外に役…