新型コロナウイルスのワクチン接種後、医学的隔離観察期間にも勉強を続けていた張晶さん。医学的隔離観察を14日間受けなければならないことを知った張さんは、4月には試験が控えているため、医学書を何冊か持ち込んだ。(写真提供・張晶さん)。
張さんは、「帰宅後、私たちはすっかり元通りの生活に戻る。働いて、生計を立てていかなければ。別に驚くようなことではない。私たちは武漢の普通の夫婦がする普通の事をしただけ」と言う。
張さんは武漢のある企業の医務室に務めるごく普通の看護師だ。同い年の夫である趙さんは運転手で、2人はつつましく、どこにでもいる普通の市民だ。
1月22日夜10時ごろ、張さんと夫は湖北省武漢市を出発し、2時間かけて同省安陸市の家に着いた。張さんはニュースで武漢の感染状況を知り、特に多くの湖北省以外の医療従事者が武漢を支援していることを知って、「とても感動した。自分も医療従事者であり、武漢市民でもあるからには、このウイルスとの闘いで何かすべきだと思った」という。張さんは武漢に帰ることを決め、自分から勤め先に職場に戻りたいと申し出て、許可を得た後、手続きを開始した。規定に従って、まず自宅で14日間の隔離をする必要があった。2月5日、手続きが全て完了すると、夫である趙さんは車で彼女を送り、一緒に武漢に戻った。
2月6日、張さんは勤め先の医務室での勤務に戻った。公共交通機関がなかったため、趙さんが彼女の専門の運転手を務めた。
傍観者ではなく、参加者に
「ちょっとこれを見てくれよ。新型コロナウイルスワクチンの臨床試験ボランティアを募集しているらしい」。3月17日午後1時、趙さんは携帯電話に表示されたあるメッセージを張さんに見せた。ボランティアの申込条件には、18歳から60歳までの武漢に在住する健康な成人とあり、2人ともその条件を満たしていた。
「申し込む?」と趙さんは張さんに尋ねた。
「申し込むに決まってるじゃないの!」と張さんは即答した。
趙さんは妻を思いやって、「一緒に申し込むよ。君が寂しいといけないからね。それに僕も自分がやってうれしくなるような事をしたいし」と言い、笑みを浮かべた。
3月19日午前9時ごろ、張さんは勤務時間中に、申込が受理されたことを知らせる電話を受けた。
身分証情報を登録し、ボランティアのインフォームドコンセントに署名し、体温を測定し、血圧測定や心電図、胸部CT検査、咽頭ぬぐい液の検査などを受けた。どの検査も非常に詳細にわたっており、張さんは、「この時、医療従事者から、検査で1項目でも不合格だったら、臨床試験には参加できないと言われた」と語った。
新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける張晶さん(写真左)と趙威さん(写真左から2人目、撮影・何暁剛)。
「身体検査の結果は合格です。すぐに何項目か採血検査を受けに来てください。ワクチン接種を受ける準備をします」。3月20日、張さんと趙さんは共に合格の知らせを受けた。
第1陣のワクチン試験参加者となった108人のボランティアたちは、特に何も用事がない時は微信(WeChat)のグループチャットで交流していた。張さんたちが夫婦で新型コロナウイルスワクチン接種ボランティアになったことを知ると、他のボランティアたちは口々に「2人ともなんて勇敢なんだ!」と称賛した。
張さんと夫は、今も双方の両親や周囲の親しい友人たちにこの件について話していない。彼らが心配しないか気がかりだし、あれこれ説明したくもないからだ。2人は隔離観察期間が終わった後、両親に伝えるつもりでいるという。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年4月8日