◇若手左腕、競って成長
11日の日本ハムとの練習試合。乱調だった久保田、杉山、桟原の右腕3人に、岡田監督は激怒した。「競争は左だけだと安心してんのとちゃうか。(1軍に入るのは)別に均等に右6、左6じゃないんやで」。それは、今キャンプでの左腕投手陣の充実ぶりを物語る言葉でもあった。
米大リーグ・ヤンキースへ移籍した井川の後継者探しが最大のテーマ。若手左腕たちはハイペースで調整を続け、紅白戦や練習試合で好結果を出している。「ポスト井川効果」と言っていい。
ただ、昨季チーム最多となる209回を投げ、14勝を挙げたエースの穴は想像以上に大きい。下柳、ウィリアムスを除く左腕の勝ち星は、江草(5勝)、能見(2勝)、中村泰(1勝)の計8勝のみ。首脳陣は今季、2、3人で補う考えだ。
中でも一番手は江草だろう。8日の紅白戦では140キロ台半ばの速球を軸に2回2安打無失点。岡田監督は能見と共に「(頭一つ)抜けてるな」と評価する。昨季は開幕先発ローテ入り。5月下旬までに5勝したが、疲労からフォームを乱して1カ月後には中継ぎへ。オフからの徹底したトレーニングで体力を養い、「自分が最後に(先発枠に)入る」と26歳は頼もしい。このほか、上手から横手へ変えた筒井、左肩痛による2年間のリハビリから復帰した三東らも1軍入りを目指す。
昨季のチーム防御率は3・13。トップ中日に0・03差に迫る2位だ。藤川ら救援陣は万全なだけに、先発陣がV奪回を大きく左右する。【井沢真】
毎日新聞 2007年2月17日 東京朝刊