開会式リハーサルを終えた早稲田実ナイン=5日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、安高晋写す
夏の甲子園初日の6日第2試合に、王貞治ソフトバンク監督の母校、早稲田実(西東京)が登場する。先月の入院以来、千羽鶴を届けるなどして大先輩にエールを送り、王監督も病室から後輩を見守った。今年は王監督が初めて甲子園に出場してから50年。和泉実監督は「恥ずかしくない試合をしたい」と話し、選手たちは何よりも良薬となる勝利を贈るつもりだ。
早実ナインが移動に使っているマイクロバスは、ナンバー「868」。王監督の本塁打世界記録にちなんだ番号で、王監督が昨年寄付した。選手は新幹線で甲子園入りしたが、バスは同校OBが運転して持ち込んだ。
西東京大会開幕直前の先月5日、「王監督入院」の知らせを聞き、後藤貴司主将(3年)を中心に「王監督はセンバツ直前、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝で勇気をくれた。今度はおれたちが恩返しする番」とチームがまとまった。同13日には、早実の高、中、初等部の全校生徒約2400人が作った千羽鶴5000羽を、渡辺重範校長が王監督に手渡した。王監督は「生徒たちによろしく」と話したという。
王監督が同17日に手術を受けた慶応病院から約500メートルの神宮球場で、早実は準決勝と決勝の2試合をサヨナラ勝ち。10年ぶりの夏の甲子園切符をつかんだ。背番号1を受け継ぐ斎藤佑樹投手(3年)は「王さんのためにも優勝できて良かった」。王監督は病床でテレビ観戦。「球史に残る試合。甲子園ではただただ思い切って戦ってほしい」と喜んだ。
王監督は1956年夏、甲子園に初出場。57年にはエースとしてセンバツ優勝を果たした。【安高晋、写真も】