国連の気候変動に関する会議「COP15」が7日からデンマークで始まります。これを前にイギリスでは、世界的権威のある研究所から地球温暖化のデータを誇張したとも受け止められる科学者の電子メールが流出し、COP15に悪影響を与える懸念も出ています。
疑惑の舞台は、気候変動に関して世界的権威のあるイギリスの大学研究所。ここからあるEメールが大量に盗み出されたのです。
流出したメールは今、インターネット上で簡単に見ることが出来ます。研究者が地球温暖化を誇張したとも受け止められる内容となっています。
「気温の低下を隠す策略を終えたところだ」(盗まれた電子メールより)
「次の国際会議にはこのデータは出さない。なんとかして止めよう」(盗まれた電子メールより)
このメールの発信者、ジョーンズ教授の研究データは、温暖化の原因が人間活動であるとの科学的根拠を示した「IPCC」=気候変動に関する政府間パネルの報告書にも採用されています。
データ改ざんをイメージさせる「トリック」という言葉は大きな波紋を広げ、COP15を直前にした欧米のメディアは、この疑惑をアメリカの「ウォーターゲート事件」になぞらえて、「クライメート(気候)ゲート事件」などと大きく報道しています。
「これらの電子メールは、COP15を台なしにしたい人物に利用されている。我々の仕事は、このメールが数十年間の気候変動についての研究を動揺させるものでないと声を上げることだ」(イギリス ミリバンド環境相)
このようにイギリス政府は火消しに躍起ですが、温暖化対策に消極的な一部の国から、この問題を会議で追及する動きも出るなど、COP15への悪影響が懸念される事態に発展しています。(07日09:47)