アメリカのオバマ政権が最優先課題としている医療保険改革をめぐって、議会上院の民主党は、最大の焦点だった政府が運営する公的保険の創設を断念する方向で最終調整に入りました。
「幅広い合意ができました」(民主党 リード上院院内総務)
難航する医療保険改革をめぐって、議会上院の民主党はこれまで、党内の穏健派、リベラル派の間で最終的な法案のとりまとめを行なってきましたが、8日深夜、リード上院院内総務は大筋で合意に達したことを明らかにしました。
アメリカの主要メディアによれば、その内容は、国民皆保険実現のため当初盛り込まれていた政府が運営する公的保険の創設を断念し、その代わりに、民間保険会社が利益追求型ではない医療保険を提供し、政府機関がこれを監視する、また、55歳から政府による老人医療保険への加入を認めるという内容となっています。
上院民主党執行部としては、公的保険への穏健派の反発が強いことから、この妥協案で党内のとりまとめをはかると共に、共和党の一部議員も取り込んで本会議での可決に持ち込みたい考えですが、民主党のリベラル派議員には、なお公的保険を求める意見も根強く、今年中の法案成立は予断を許さない情勢です。
「上院は昨夜、創造的な新しい枠組みを伴った重要な進展を見せました。これが最終的な法案通過につながると信じます」(オバマ大統領)
一方、これを受けてオバマ大統領は9日、上院の代替案を「支持する」と言明するとともに、医療保険改革の実現に向けた議会の一層の努力を求めました。(10日13:01)