自動車部品製造のヤマザキは美容家電分野に参入した。第1弾として、「マイクロバブル」と呼ばれる微細な気泡が含まれた霧を使った洗顔用マスクを開発した。せっけんを使わずに、毛穴の汚れや老廃物を落とせる。製品開発と販路開拓を進め、自動車部品、工作機械に次ぐ事業に育てる。
新製品「luire(リュイール)」は、人の顔をかたどった樹脂製のマスク。額の辺りの内部に、水に圧力をかけて微細な気泡を作る小型装置が入っている。専用の水を3ミリリットル入れてスイッチを押すと、直径2~10マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルの気泡が含まれた霧が内部に噴き出され、約3分かけて顔全体に行き渡る。
マイクロバブルは汚れに吸着する性質があり、機械の洗浄装置や、美容向けのシャワーヘッドなどで利用されている。同社はこれまで洗浄装置などに組み込む用途で、マイクロバブルの生成装置を製造しており、この技術を新製品に生かした。
今回美容器具用に開発した生成装置は直径6ミリ、長さ12ミリの円柱形。従来より小型で、より小さな気泡を生み出せる。小型化によりマスクに埋め込み、霧の小さな水滴にも気泡を含ませることが可能になったという。
同社BOL部の加藤好美部長は「マイクロバブルのミストを使った美容器は世界初。水と空気だけなのでアレルギーの心配も少ない」と話す。価格は4万8600円。
新設した通販サイトで販売し、初年度に3千個の販売をめざす。今後もマイクロバブルの技術を生かした製品を開発するとともに、販路開拓を急ぐ。
野村総合研究所の推計によると、2014年の美容家電の市場規模は前年比7%増の1636億円。大手電機メーカーが新製品投入など強化している分野で、15年も6%増の1732億円と拡大する見通しだ。