【ブリュッセル=小滝麻理子】欧州連合(EU)とギリシャは13日、2月末に期限が切れる同国への金融支援を巡り実務者協議を開始した。これに先立ちギリシャのチプラス首相は「双方の受け入れ可能な合意を得られることを期待する」と述べた。主張の隔たりはなお大きく、16日のユーロ圏財務相会合で決着できるかどうかは不透明だ。
実務者協議の関係者は「両者の案の共通点と相違点をあぶり出す作業を始めた。財務相会合に向け技術的な擦り合わせが進む」と予想する。一方で財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は「技術的なレベルの合意は楽観しているが、政治的な合意に対しては極めて慎重だ。非常に難しい」と語った。
基本的に現行の支援の枠組みの延長を求めるEUに対しギリシャが拒否する構図は変わらない。ただドイツのメルケル首相は12日、「欧州は常に妥協を見いだしてきた」と指摘した。EU関係者は13日、記者団に対し「新たな金融支援の枠組みを議論する可能性もある」と述べ、柔軟に対応する構えを示した。
チプラス氏はEUの欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3者からなる支援の枠組み(トロイカ)は「もう存在しない」と繰り返し主張してきた。EU幹部は「トロイカという言葉は使わないようにしている」と明かすなどギリシャの世論に配慮をみせている。
欧州の一部の国ではギリシャへの支援の延長に議会の承認が必要で、16日の財務相会合は決着を図る実質的に最後のチャンスともいわれている。合意できなければ支援が失効し、ギリシャではデフォルト(債務不履行)やユーロ離脱のリスクが現実味を帯びてくる。