【カイロ=共同】過激派組織「イスラム国」のグループは15日、リビアで拘束していたエジプトのキリスト教の一派、コプト教徒21人を殺害したとみられる映像をインターネット上に公開した。残虐な映像により、リビアでの勢力を誇示する狙いとみられる。
コプト教徒は、イスラム国に忠誠を誓うリビアの過激派に拉致されたとされる。12日に公開されたイスラム国の英字機関誌「ダビク」は、リビアで「イスラム国の戦士が21人のコプト教徒を拘束した」と伝えていた。
エジプトの中東通信によると、コプト正教会は「殺害された21人を追悼する」と表明。シシ大統領は国防評議会を緊急招集した。
映像では、覆面姿の戦闘員が「十字軍の兵士たちよ。おまえたちの安全は希望でしかない」と英語で警告。地中海沿岸とみられる浜辺に多数の戦闘員が並び、その前に1人ずつオレンジ色の着衣の男性がひざまずかされ、首を切られ殺害された。
シリアとイラクにまたがる地域に国家樹立を一方的に宣言したイスラム国に対し、一部過激派が忠誠を表明しており、エジプト・シナイ半島に続き、リビアの過激派も活動を活発化させていた。
リビアはエジプトの隣国で、エジプト人の出稼ぎ労働者が多い。エジプトはイスラム教を国教とするが、人口の1割弱はコプト教徒が占める。