エジプトの破棄院(最高裁に相当)は15日、2013年に軍の介入で失脚したムルシ元大統領(65)に対し、11年の「アラブの春」時に脱獄に関与したとして死刑を言い渡した刑事裁判所の判決を破棄し、裁判のやり直しを命じた。
ムルシ氏と一緒に死刑判決が出ていた「ムスリム同胞団」のバディウ団長ら5人と、終身刑が出ていた21人も判決を破棄、裁判のやり直しを命じた。
地元メディアによると、ムルシ氏の弁護団は、一審は法の適用の誤り、証拠改ざん、弁護側の権利の侵害などがあったとして上訴していた。刑事裁は昨年6月、ムルシ氏らが11年1月末に反ムバラク政権運動で混乱を作り出すため、3カ所の刑務所から約2万人を脱獄させたと認定した。パレスチナのイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも協力したとしていた。
ムルシ氏は別の裁判で、大統領在任中に反政府デモを暴力で排除したとして禁錮20年が確定している。(カイロ=翁長忠雄)