大阪市淀川区で2014年6月、「身体の機能を回復する」とうたった乳幼児向けマッサージを受けた生後4カ月の男児=神戸市=が死亡した事件で、業務上過失致死容疑で逮捕された元NPO法人理事長、姫川尚美容疑者(57)が、男児を太ももの上に長時間うつぶせの姿勢で乗せ、頸(けい)動脈部分を繰り返しもんだ疑いがあることが4日、大阪府警への取材で分かった。
府警によると、複数の医師の所見から、同容疑者のマッサージは乳幼児の呼吸や心臓の動きに影響を与える危険な施術だったという。府警はマッサージが原因で男児が死亡したとみている。
同容疑者は「うつぶせの姿勢にしたが、胸腹部を圧迫しないようにした。頸動脈は繰り返しもんでいない」と容疑を否認している。
逮捕容疑は14年6月2日午前11時ごろ、NPO法人「子育て支援ひろばキッズスタディオン」の大阪市淀川区内の事務所で、危険性を認識しながら男児にマッサージを施し、同月8日に低酸素脳症による多臓器不全で死亡させた疑い。
同容疑者は施術開始から約45分後に男児がぐったりしているのに気付き119番通報。男児の母親や女性スタッフ2人が周囲で様子を見ていた。
同NPO法人では、別のスタッフから同様のマッサージを受けた乳幼児が病院へ救急搬送される事例も発生。同容疑者の施術中にも乳幼児が体調不良になる事例が起きており、府警は危険性を認識していたとみている。
同容疑者は1時間1万円で1日平均7~8人の乳幼児に施術をしていた。事件後にNPO法人の理事長は辞めたという。
男児の遺族は4日、弁護士を通じて「息子や私たちの苦しみをほかのお子さんやご家族に味わわせたくありません。そのためには姫川容疑者には真実を話してもらいたい」とのコメントを出した。