【ワシントン=吉野直也】ケリー米国務長官は5日、訪問先のサウジアラビアで記者会見し、リッパート駐韓米国大使がソウル市内で襲撃された事件を批判した。「われわれの外交官を脅したり、危害を加えたりした者に問われる罪の最高刑での処罰を求める」と述べ韓国側に対応を求めた。
5日、ソウル市内で男に切りつけられたリッパート大使=AP
ケリー氏は「今回のサウジの訪問とは別の問題だが、強調したいことがある」と襲撃事件について自ら切り出した。そのうえで「外交官の安全確保はオバマ政権の最優先事項だ。リッパート氏への卑劣な攻撃を深く懸念している」と非難した。
リッパート氏に見舞いの電話をしたことを明らかにするとともに「米国はこうした攻撃にひるむことなく、普遍的な権利や価値に基づいて国益と信じるものを追い求める決意だ」と訴えた。
リッパート氏はオバマ大統領の側近で、上院議員時代から外交顧問を務めた。オバマ政権では米国家安全保障会議(NSC)首席補佐官や、アジア太平洋担当の国防次官補、国防長官首席補佐官を歴任した。
米国務省のハーフ副報道官は5日の声明で「米韓同盟は強力で、無分別な暴力行為で阻むことはできない」と指摘した。事件の背景や動機については「現時点で不明」と述べるにとどめた。
米政府は4月末からの大型連休中に米国を訪問する安倍晋三首相とオバマ氏の首脳会談に合わせて韓国系米国人らがデモを計画しかねないと警戒を強めている。