日銀は17日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成8・反対1の賛成多数で決めた。マネタリーベース(資金供給量)を年間80兆円に相当するペースで増やす金融市場調節を継続する。木内登英審議委員は反対し、昨年10月31日の追加緩和前の政策に戻すことが適当だとした。
金融政策の現状維持を賛成8、反対1で決めた日銀の金融政策決定会合(17日午前)=共同
資金供給の手段としては、長期国債の保有残高は年80兆円増、株価指数連動型上場投資信託(ETF)は年3兆円増、不動産投資信託(REIT)は年900億円増のペースを続ける方針を維持した。
物価については、消費者物価(生鮮食品を除くコア指数)の上昇率は、消費増税の影響を除いて「0%台前半となっている」として、前月の「0%台半ばとなっている」から変更した。また、先行きについては「エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移する」とした。前月は「エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小する」だった。予想物価上昇率について「やや長い目で見れば、全体として上昇している」との表現は維持した。
国内景気については全ての項目について表現を据え置いた。総括判断は「緩やかな回復基調を続けている」とした。輸出は「持ち直している」、個人消費については「一部で改善の動きに鈍さがみられるものの、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、全体としては底堅く推移している」とした。住宅投資は「足元では下げ止まりつつある」、鉱工業生産は「持ち直している」との表現を維持した。
景気の先行きは「緩やかな回復基調を続けていくとみられる」としてこれまでの見通しを維持した。
今後の金融政策運営については、消費者物価指数の前年比上昇率2%を目指す「物価安定の目標」の実現を目指し、「安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する」と改めて示した。さらに「経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」との表現を維持した。
木内委員は前回と同じく、量的・質的金融緩和を継続する期間を「2年間程度の集中対応期間と位置づける」との議案を提出した。議案は木内委員以外の8人の委員が反対し、否決された。
黒田東彦総裁は15時30分から記者会見し、会合の決定内容や金融市場の動きなどについて説明する。
日経QUICKニュースが決定会合後に配信した主な会合関連のフラッシュニュース(見出しだけのニュース)は以下の通り。
◆日銀、金融政策の現状維持を決定 資金供給量年80兆円増
◆日銀、現状維持は賛成8・反対1 反対は木内委員
◆日銀、消費者物価「0%台前半となっている」
◆日銀、長国は年80兆円増、買い入れ平均残存年限は7~10年
◆日銀、ETFは年3兆円、REITは年900億円増
◆日銀、金融緩和「物価目標の安定的持続に必要な時点まで継続」
◆日銀、金融政策「上下双方向のリスク要因点検し必要な調整を行う」
◆日銀、物価先行き「エネルギー価格の下落で、当面0%程度で推移する」
◆日銀、景気「緩やかな回復基調を続けている」
◆日銀、景気先行き「緩やかな回復基調を続けていく」
◆木内日銀委員「量的・質的緩和2年程度の集中対応措置に」提案
◆日銀、木内委員の提案を賛成1・反対8で否決
〔日経QUICKニュース(NQN)〕