【カイロ=共同】宮殿として建てられたバルドー博物館。広々とした前庭で惨劇が始まったのは18日昼ごろ。1台の車が止まり、自動小銃を持った男らが飛び出すなり、入り口近くのバスから降りる観光客を撃ちだした。
チュニスで博物館襲撃に巻き込まれた人々(18日)=ゲッティ共同
スペインの小さな町の町長の男性は博物館に入ってきた男たちの顔を「10メートルの距離で見た」という。「やつらは動くものを何でも撃っていた」。自分は近くの柱の陰に身を隠してやり過ごした。その後「3時間近く床に伏せ、助かった」。
館内にいた女性客の一人は最初「大きな音がして、像が倒れたのかと思った」。間もなく銃声だと分かり、世界有数のモザイクが展示されたフロアを移動して息を潜めた。しばらく待った後、入ってきた警官に「走れ、走れ。早く外に出ろ」と指示され、飛び出した。
地元テレビは、博物館の裏口から脱出し小走りで隣の建物に避難する人々の映像を放映した。階段を駆け上がる人もいれば、足が不自由で両脇から支えられる人、子供を抱えた人も。恐怖に顔を引きつらせ、多くが体をかがめていた。
これと前後して、ヘルメット、防弾チョッキの治安部隊員が博物館を取り囲んだ。一部は屋上付近から館内に潜入。国営メディアが「また銃撃音が聞こえる」と報じたしばらく後、内務省当局者が「人質救出は終わった」と作戦終了を宣言した。2人の男が殺害されたが、当局は協力者2~3人がいた可能性があるとみて行方を追っている。
チュニスでは18日夜、テロに抗議する集会が開かれた。多くの市民が参加し、衝撃の大きさを浮き彫りにした。