四国経済産業局が27日発表した2014年の四国4県の工場立地件数は13年比65%増の158件だった。増加は4年連続。太陽光発電所など電気業を除いても3年連続で前年を上回った。景気回復を受けて積極投資に転じる企業が増えたほか、円安で生産設備の国内回帰も進んでいる。自治体は雇用や周辺産業など波及効果の大きい工場誘致に力を入れる。
調査は工場などを建設することを目的に、1000平方メートル以上の用地を取得または借りた事業者を対象とした。
県別に見ると香川は13%増の51件。国内の造船最大手、今治造船が400億円を投じ大型ドックを新設するため、丸亀市で用地を取得した。電子機器製造のレクザム(大阪市)による、経営破綻したメーカーの小豆島の2工場の取得もあった。
愛媛は92%増の25件。
3月に食品製造会社のプライムデリカ(相模原市)が47億円を投じ、1日あたり最大15万食を生産する工場を建設した。四国で店舗数を増やすセブンイレブンに供給する。
徳島は2.3倍の56件。段ボール最大手のレンゴーが3月に阿波市の県営工業団地の1区画約3ヘクタールを取得した。子会社の徳島市の工場を移転拡充する計画。建築資材の高騰などで着工は遅れているが、早期の建設を目指している。
高知は86%増の26件。鋳鋼品製造の釜原鋳鋼所(高知市)など2社が南海トラフ地震による津波被害を避けることなどを目的に、工場の建設や移転を実施した。
四国経産局は「景気回復で企業の設備投資意欲が高まっているほか、円安で国内に生産を回帰する動きが出ている」と分析している。
業種別に見ると、電気業は120件と全体の76%を占めた。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の利用を見込んだ太陽光発電所の建設が相次ぎ、13年に比べて58%増えた。ただ、7~12月の下半期で見ると、1~6月の上半期に比べて24%減の52件と、12年の同制度開始以来、半期として初めて減少した。
四国電力が10月から今年1月にかけて買い取りを一時中止したことが影響した。四国経産局は今後について「来年度からは買い取り価格が下がるため、減少が続く可能性がある」と見ている。
各県は雇用や周辺産業への波及効果の高い工場などの誘致に力を入れる。高知県は県内外の企業が工場の新設や増強などに取り組む場合、50億円を上限として投資額の25%を補助する。県は「ここまで支援するのは全国でも珍しいはず」と話している。
香川県も13年度から新たに物流拠点施設への助成を開始。固定資産税を優遇したり、新規雇用人数に応じて助成金を出したりする。愛媛県は15年度から、地元企業が県内での事業規模を拡充する場合に最大5億円を補助する新制度を始める。企業誘致の一方ですでに立地する企業の県外流出を防ぎ、県内経済への波及効果を高める。