【ローザンヌ(スイス)=原克彦】スイスのプライベートバンク大手BSIは米国での脱税ほう助を認め、罰金2億1100万ドル(約253億円)を払うことで米司法省と合意した。親会社の保険大手ゼネラリ(イタリア)が30日発表した。BSIは顧客の関連情報を提供し、起訴を免れた。銀行の秘密口座を巡るスイスと米国の情報提供制度を適用した初の事例となった。
スイスと米国は2013年、スイスの銀行が脱税ほう助を認めて顧客に関連する情報を米当局に提供すれば、米国が起訴を免除することで合意した。ただ、罰金は脱税ほう助の規模に応じて決まるため、スイス金融界は銀行が経営難に陥るほどの罰金を科されることを警戒していた。
BSIは同制度が適用される銀行のなかでは比較的多くの脱税ほう助を手掛けていたとされる。第1号案件の決着を受け、同様の和解が相次ぐ可能性がある。ロイター通信によると、米司法省は今後数カ月で50~60行がこれに続くとみている。
スイスの銀行は外国の捜査当局にも顧客情報を漏らさない徹底した秘密主義で知られたが、米国の圧力を受け方針転換した。起訴免除制度は、米国とスイスが合意した時点で捜査を受けていなかった金融機関のみが対象だ。対象外だった金融大手クレディ・スイスは14年に合計28億ドルの罰金を払った。