遠くが見えにくくなる「近視」の発症に関わる遺伝子の変異を京都大のチームが突き止め、英科学誌電子版に発表した。
近視はアジア人に多いとされ、強度の近視になると失明の恐れもある。これまで複数の遺伝子が発症に関与すると報告されているが、完全な予防法はなく、発症の詳細な仕組みも不明。
チームの山城健児講師(眼科学)は「この遺伝子がどのように近視に関わるかを解明し、予防や治療法の開発につなげたい」と話す。
チームは強度近視の日本人患者約千人の遺伝子を解析。約32%の患者で、網膜の血管形成に関わる遺伝子「WNT7B」に特定の変異があった。
一方、近視でない約1900人では変異があったのは約29%で、チームは「調査対象者が比較的多く、統計的には大きな差」と判断。この遺伝子が作り出すWNT7Bタンパク質が近視の発症に関与するとみている。
実験でマウスを近視の状態にすると、角膜と網膜でWNT7Bタンパク質の量が増えることも確認した。〔共同〕