大阪市議会の都市経済委員会は23日午前、大阪府立大と大阪市立大の運営法人を統合するための議案について、大阪維新の会や公明党などの賛成多数で可決した。同日午後の本会議でも可決になる見込みで、昨年11月には府議会で同様の議案が可決されており、府と市は2019年春に新法人を発足させる。法人が統合すれば、22年春に大学が統合する構想がさらに前進する。
府と市は、「1法人2大学」として両大学の経営を一元化したうえで、大学を統合して「1法人1大学」にすることを目指している。都市経済委で可決された議案では、新法人の名称は「公立大学法人大阪」。現在はそれぞれの大学の学長が理事長を兼務しているが、新法人では理事長は1人で、両大学に副理事長(学長)を置く。
文部科学省によると、異なる自治体が設立する大学法人の統合は初めて。
市議会には法人統合の議案が昨年9月に提案されていたが、公明党や自民党から新大学のキャンパス整備の具体像や府と市の財政支援の考え方を示すよう求める意見が相次ぎ、継続審議となっていた。
これに対し、吉村洋文市長は今月16日の都市経済委で、新キャンパスについて大阪城に近い森之宮地域(大阪市城東区)の市有地などを候補地として挙げた。既存のキャンパスの集約化や都心への新キャンパス整備の構想を進め、建設費用は必要に応じて府と市で負担する考えを示した。
大学統合には改めて両議会での関連議案可決が必要で、府と市は20~21年に両議会に関連議案を提案する方針。統合が実現すると、学生数は約1万6千人に上り、首都大学東京(約9200人)を上回り、全国最大の公立大となる見込み。(沢木香織)