アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、関学大は26日午後、会見を開き、日大から受け取った2度目の回答書や自身の指示を否定した内田正人前監督らの会見についての見解を表明した。日大守備選手へのヒアリングを行っていないことなどから、「再回答書の内容には多くの矛盾が存在し、真実とは到底認識できない」と断じた。また日大との定期戦は、「十分な信頼関係を取り戻すまで中止する」とした。
「日大の見解に強い疑念」関学大、再回答書への見解全文
「監督と選手に乖離」日大の再回答書全文
兵庫県西宮市のキャンパスでの会見には鳥内秀晃監督、小野宏(ひろむ)ディレクターが出席した。日大の当該選手が謝罪に来た際、弁護士は同席せず、自ら手書きのメモをもとに経過を話していたことを明かした上で、「その内容は(守備選手本人による22日の)会見と内容はほぼ同じであり、一貫性も高く、極めて信憑(しんぴょう)性が高いと考えられる。内田監督、井上(奨=つとむ)コーチの(23日の)会見での発言は、これを否定するのに十分な根拠があるとは思えない」との見方を示した。
日大は再回答書のなかでも、「指導と指導を受ける側の認識の乖離(かいり)」に言及。この点には、「乖離があったのなら部として本人にヒアリングをして乖離の理由を確認するのが当然なのに、なされていないのは極めて不可解」と強い疑問を呈した。
井上コーチによる「1プレー目でクオーターバック(QB)を潰してこい」との発言についても、「『相手を潰せ』『関学を潰せ』は『勝て』と同義と理解し得るが、『QBを潰せ』『QBを壊せ』という表現には結果として負傷させるという明確な目的が示されていると考えるのが自然。まして1プレー目でと条件を絞り込んでいる。指導者の指示と選手の受け止め方は整合していたと考えるのが合理的」とした。
22日に当該守備選手が、翌23日に内田前監督と井上コーチが行った会見の印象を問われ、鳥内監督は「選手は勇気をもって一人でああいう会見をした。誠実に話したと思う」と語った。一方、前監督らについては「本当の責任をあいまいにしている。謝罪に来られた時に内田監督は『この件は私の責任』と言っていた。本当に自分の責任と考えているなら発言内容は変わっていたのでは。井上コーチは内田監督のことを気にしながらで、思っていることを言えているのかなと感じた」と話した。
日大の2度目の回答書は加藤直人部長名。「今回の反則行為の原因は、現状では、指導と指導を受ける側の認識の乖離(かいり)と考えております」、「監督、コーチらと現場の選手の意識の差が、今回の問題の本質と認識」などと、前回の回答書と同じ趣旨の説明をしている。また、「厳しい練習や叱責(しっせき)などで弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が(相手にけがをさせろと)思い込んでしまったことが、反則行為の原因」とした。
内田前監督、井上コーチらの指示については「直接、反則行為を促す発言をしたという事実は確認されていません」「(『つぶせ』という発言は)、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません」などと否定した。
「関学のQBを壊せば、秋の試合でこっちの得だろう」という趣旨の井上コーチの発言について、同コーチは発言自体を否定したといい、「他の部員でも聞いた者がおらず、確認が得られなかった」と説明した。
関学大はこの会見で日大の当該…