【ワシントン=岩本昌子】米連邦準備理事会(FRB)が15日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、総括判断で「米経済は2月中旬から3月末にかけて、大部分の地区で引き続き拡大した」と指摘した。
リッチモンド地区やシカゴ地区など5地区が経済活動は穏やかなペースで成長と報告し、ニューヨーク地区など3地区は緩やかなペースでの成長とした。ボストン地区では経済拡大が続いた。クリーブランド地区ではわずかな成長だった。アトランタ地区とカンザスシティー地区は経済情勢は安定していると表現した。
大多数の地区では消費が伸びた。小売業者は石油の値下がりが消費を後押ししていると報告。自動車販売は大部分の地区で増加した。旅行業は天候が良くなると共に回復していっており、今年残りの期間も成長が続くと予測している。
製造業の需要は様々で、分野や地区によってはドル高や石油の値下がり、冬の厳しい悪天候などが一部影響し、製造業の活動が弱まった。
住宅販売は大部分の地区で安定しているか改善した。ただ、一部では例年にない悪天候の影響で住宅建築が減速した。集合住宅分野は依然として強い。商業用不動産市場は多くの地区で横ばいまたはわずかに改善した。
金融業の状態はおおむね安定しており、一部ではローンへの需要がいくらか改善した。非金融業では活動が増加し続けており、短期成長見通しも明るい。
労働市場は大部分の地区で安定またはゆっくりと改善が続いている。複数の地区では石油価格の低下が原因で、製造業やエネルギー産業で一時解雇があった。賃金上昇圧力は多くの地区で穏やかまたは緩やか。物価上昇は全地区を通じておおむね横ばい、またはわずかにとどまった。