関西電力は17日、高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働を認めないとした福井地裁の仮処分決定を不服とし、異議と執行停止を申し立てた。八木誠社長は同日、東京都内での記者会見で「決定には事実誤認がある。到底承服できない」と強調。今年11月と想定する再稼働時期は「地元の理解を得るのに何らかの影響もある」と、遅れる可能性を示唆した。
関電による異議と執行停止の申し立ては福井地裁で審理する。関電は仮処分の決定が取り消されないと高浜3、4号機を動かせない。八木社長は「安全性の立証に全力を尽くし、1日も早く再稼働させたい」と述べた。
関電は地裁決定に4つの事実誤認があると主張する。電源喪失から炉心損傷まで5時間余りとした地裁に対し、関電は「外部支援が無くても18~19日間は給水を続け炉心燃料を冷やせる」と反論した。使用済み燃料の給水設備の耐震性、緊急時の対応、給水ポンプの予備でも誤りを指摘した。
司法手続きがいつまでかかるか見通せず、関電の業績に不透明感が強まっている。2015年3月期まで4期連続の最終赤字になったようだが、「再稼働が遅れれば収支が厳しくなるのは避けられない」(八木社長)。15年度中に再稼働できない場合でも「修繕繰り延べなどで黒字を目指す。5期連続赤字は何としても避けたい」と語った。
福井地裁は14日に仮処分を決定した。国の原発の規制基準を「緩やかにすぎ、合理性を欠く」と指摘。高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会の審査に合格したが、再稼働を認めないとした。