特許登録された医薬品とは異なる方法で作った同じ薬が特許を侵害するかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は20日、弁論を開いた。二審・知財高裁は裁判官5人による大合議判決などで「特許侵害に当たらない」としたが、最高裁は判断を見直す可能性がある。判決は6月5日。
問題となったのは高脂血症などに使われる医薬品。国内で特許を登録しているハンガリーの医薬品メーカー「テバ」が、同成分の薬を製造する協和発酵キリン(東京)や輸入する東理(同)に特許権を侵害されたとして、販売差し止めなどを求めた。
この日の弁論で、テバ社側は「製法が記載されていても物の特許である以上、成分が同じなら特許侵害に当たる」と主張。国内の2社側は「もし別の製法でより高純度の同じ物質を作っても特許侵害とされれば特許制度の趣旨に反する」と反論し、上告棄却を求めた。
一審・東京地裁は特許の侵害を否定し、テバ社の請求を棄却。二審・知財高裁は「特許の出願時に製法も記載している場合、特許の範囲はその製法で作ったものに限られる」と指摘し、2社が扱う製品は製法が異なり特許侵害に当たらないと判断、控訴を退けた。
特許出願時に製法も記載している場合、製法が異なる同じ物質が特許の侵害に当たるかについては過去の裁判例や学説が割れており、最高裁が今回、統一判断を示すとみられる。