昨年12月25日、ファンに別れを告げて手を振る大谷翔平=札幌市豊平区の札幌ドーム
エンゼルスでは、本拠・エンゼルスタジアムの試合で選手が打席に立つとき、その選手が希望した曲を場内に流している。大谷翔平の場合は、英国のシンガー・ソングライター、オリー・マーズの「Wrapped Up」だ。
3日(日本時間4日)の本拠初出場。軽快なポップスに乗って大谷が登場する場面を、札幌市にあるプロ野球・日本ハムの球団事務所でも職員たちがテレビを通じて見守った。「『うわ、使ってるじゃん!』って。じーんと来ました」。場内演出担当の男性職員は、大谷の選曲を喜ぶ。
日本ハムでも札幌ドームで選手が打席に入るときに曲をかけている。自分で決める選手もいれば、球団に任せる選手もいる。大谷の場合は前者だった。この職員が振り返る。「2014年か15年だったと思うんですけど、別の曲を使ってましたが、突然、広報から連絡が来たんです。『決めた』って」
登場曲へのこだわりは選手によって様々。最初に指定してきたのは新庄剛志さんだったという。当時はまだネットでダウンロード、なんてできない時代。新庄さんはCDを持参してきた。レアードは少し調子が落ちると「別の曲にする」と言ってくる。「大谷には『もう変えようぜ』って言ったこともあったんですけど、『やだ』って」と職員。昨年12月25日に札幌ドームであった退団セレモニーでも、入場時に流した。
本拠初出場、初打席、初本塁打の試合後、大谷に曲を継続した理由を聞いた。「慣れているかなという感じはします。場所は違いますけど、多少いつも通りのリズムで(打席へ)入れたんじゃないかなと思います」。遠く離れていても心に札幌ドームの光景を抱いて、大谷はエンゼルスタジアムの打席へ向かう。(アナハイム=山下弘展)