【シリコンバレー=兼松雄一郎】米ネット大手のヤフーは21日、決算発表後に日本のヤフーの株式について売却の可能性も含めて検討を始めたと表明した。マリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)は動画会見で「日本ヤフー株の価値を最大化するため助言者を雇った」と述べた。業績が伸び悩むなか、資産の売却で株主の圧力をかわす狙いがある。
米ヤフーは日本ヤフー株の35%を持ち、ソフトバンクに次ぐ大株主だが、事業上の関係は薄い。米投資ファンドのスターボード・バリューから日本ヤフー株を売却するよう圧力をかけられていた。
メイヤー氏の発言を受け、米ヤフー株は時間外の取引で1%上昇した。日本のヤフーの広報担当者は22日、「コメントは差し控えたい」と語った。同日の日本のヤフー株は続伸し、一時前日比4%高の539円を付けた。株の売却先を巡って思惑的な買いを誘ったとの見方があった。
米ヤフーは1月には保有する中国アリババ集団株を本体から切り離し、年内に売却すると発表していた。パソコンの検索ポータルとして成長した米ヤフーはスマートフォン(スマホ)の急激な普及に乗り遅れた。業績が伸び悩み、資産の売却とリストラで投資家の圧力をしのぐ苦しい状況にある。
21日発表した1~3月の決算は、提携先に支払うトラフィック獲得コスト(TAC)を除いた実質売上高が前年同期比4%減の10億4300万ドル(約1250億円)となった。純利益は93%減の2100万ドル。検索エンジンが米モジラに採用され、利用者が増えた見返りとしてモジラへ支払うTACが増えた。