【ワシントン=矢沢俊樹】米議会上院の財政委員会は22日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結に必要となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で可決した。下院歳入委員会も近く採決する見込み。上院委の壁はひとまずクリアした格好だが、為替操作防止策などを巡り議会内の対立が深まっており、法案成立までは曲折が予想される。
上院財政委員会を通過したことで、次は上院本会議での取り扱いが焦点になる。現時点で具体的な審議日程は未定だ。議会下院歳入委(ライアン委員長=野党・共和党)も近くTPA法案を採決する見通しとなっており、上下両院とも委員会段階では比較的すみやかに処理が進む見込み。
TPA法案は16日に上院のハッチ財政委員長ら超党派グループが提出した。本来議会が持っている外国との通商協定の締結権限を期限つきで大統領に委任する内容だ。政権側がまとめた協定案を議会が事後的に修正する事態を避けるため、TPPの妥結に欠かせない。
22日の上院財政委ではTPA法案の為替の取り扱いに大きな時間を割いた。米自動車業界などの意向を踏まえ、与党・民主党のリベラル派メンバーは「為替操作」に強力な報復措置を盛り込むよう主張。慎重派の共和幹部らと激しい応酬が続いた。
下院歳入委でも同日、公聴会が開かれ、民主党委員トップのレビン議員がTPA法案の大幅修正案を23日に提出することを明らかにした。このため公聴会に出席したルー米財務長官は法案の早期成立を求めるとともに、課題の為替問題について「強制力を持つ為替条項は副作用が大きい」などと慎重な対応を求めた。