首相官邸の屋上で小型の無人飛行機(ドローン)が見つかった事件で、逮捕された山本泰雄容疑者(40)が「(一連の経緯を)ブログに投稿した」と供述していることが25日、警視庁への取材で分かった。山本容疑者のものとみられるブログには、反原発に関する主張のほか、黒く塗った機体の画像などが掲載されていた。「4月9日未明に飛ばした」などとする供述に沿った記述もあり、警視庁公安部が内容を詳しく調べている。
山本容疑者のものとみられるブログでは、「官邸サンタ」を名乗る筆者が反原発の立場からの主張などを投稿。4月12日の書き込みでは、官邸上空にドローンを飛ばしたことを記した。
それによると、4月7日に福井県小浜市を出発、8日未明に東京・赤坂に着いたが、天候悪化で断念した。高速道路のサービスエリアで仮眠を取るなどした後、9日午前3時半に再び赤坂へ。「迷わず離陸」「GPS感度が悪くてビルスレスレで上昇」などと当時の状況も記した。
官邸上空を飛行するが、暗くて中の様子が見えない。「カメラ画像にノイズが乗る… 目標を官邸前庭に変更 前庭のライトめがけて下降…画像電波ロスト」。操作不能となったドローンの回収をあきらめ、小浜に戻ったという。
官邸屋上でドローンが見つかったのは2週間後の22日。その日のブログには「手が震える… 犯罪者は自分の報道をこんな感じでみるのか…」。出頭直前の24日には「福島の汚染土は持ち出し放題だから…脅迫はどこにでも通用する」「官邸も守れない、汚染土も管理できない国が原発を…」などとつづられていた。
ブログが始まったのは昨年7月。「デモで再稼働は止まらない」「再稼働を止めるためにはテロをも辞さない」。反原発を主張し、実力行使に出る考えを強調。
10月には鹿児島県の川内原発を偵察する様子を投稿。原発施設に向けドローンを飛ばしたもようだが「建屋に全く届かない」「離陸場所が遠すぎたな」と侵入が失敗に終わったことがうかがわれる。
昨年10月から今年3月までは、福島県の帰還困難区域に入り、採取した土を持ち帰ったと書いている。
12月には小型カメラを取り付けたドローンや操縦機の画像を掲載。「夜間離陸で目立たないようにマットブラックに塗装」「機体下のLED発光が強烈なので重ね塗りして抑える」などと準備の様子を書き込んでいた。同月24日には官邸前に向かったが、心理的な問題で飛ばせなかったとも説明している。