【広州=中村裕】5日に閉幕した中国最大の貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」の輸出契約額は、2014年春と比べ9.6%減の280億5600万ドル(約3兆3700億円)と大台の300億ドルを割り込んだ。リーマン・ショック後に輸出が急減した09年の水準に迫った。人件費の高騰や人民元高を受け、輸出減少に歯止めがかかりにくい状況だ。
広東省で5日まで開かれた中国最大の貿易見本市(広州交易会)では価格交渉が年々激しさを増している
この見本市は、毎年春と秋の年2回開く。家電や衣類、電子部品、食品、日用品など中国全土の商品が集められ、中国メーカーが世界各国から集まる輸入業者(バイヤー)に自社製品を売り込む。見本市での契約額が、今後半年間の中国の輸出動向の先行指標となる。
今回は約2万4千社の中国企業が出展した。契約金額が前年を下回るのは、12年の春以降、7回連続だ。大台の300億ドルを割り込むのは昨秋に続き2回連続で、今回は昨秋に比べてもさらに契約額が4%減った。中国税関総署が発表した貿易統計によると、足元の3月の輸出額(米ドルベース)も前年同月比15%減っている。
契約額の減少に歯止めがかからない背景には、昨年末からユーロに対して人民元高基調が続き、主要な輸出先である欧州からのバイヤーが大きく減っていることがある。今回来場したバイヤーは全体で約18万人と昨秋に比べ0.7%減少する中、欧州からのバイヤーは18%減った。
中国の人件費の上昇も響いている。この5年間で最低賃金が約2倍になったが、賃金上昇の勢いは止まらない。多くのメーカーが工場を構える広東省では昨年に比べさらに2割賃金が上昇した。
賃金上昇分はそのまま製造コストに上乗せされ、製品価格に転嫁せざるを得ない。バイヤーが中国から足を遠のけ「価格競争力のある東南アジアやバングラデシュに買い付け先を変えつつある」(浙江省のシャツメーカーの経営者)。