村田製作所は13日、島根県で電子部品の新工場を2棟建設すると発表した。スマートフォン(スマホ)や自動車向けが好調な「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」を増産する。投資額は180億円。MLCCはスマホの高機能化や車の電子化によって今後も需要が安定して拡大する見通し。同社はMLCCで約4割の世界シェアを持っており、増産で旺盛な需要を取り込む。
新工場棟は生産子会社の出雲村田製作所(島根県出雲市)が建設する。出雲村田は福井県の工場と並ぶ国内の主要生産拠点。2つの新棟は2015年12月と16年10月にそれぞれ完成する予定だ。今後3年間で約300人の従業員を採用する。
MLCCは電気を一時的に蓄えて電流を安定させる役割などを担う。スマホ1台に約700個、自動車1台に1000~3000個が搭載されている。スマホなどの機能向上に伴い、今後も搭載数が増えていく。新工場棟では現在スマホ向けなどで主流の小型MLCCを量産するとみられる。
同社は15年3月期に連結売上高が初めて1兆円を超えた。MLCCは全体の3分の1程度を占める基幹製品。世界のスマホ大手から受注が好調で、15年度には中国と福井県の生産拠点でも新棟を稼働させる予定だ。
村田製作所は16年3月期も過去最高の1500億円の設備投資を計画している。今回の投資を含め、MLCCの生産能力を10%高める計画を掲げている。同社は日本と中国のほか、フィリピンやシンガポールの生産拠点でもMLCCを生産している。