愛らしい立ち姿で、千葉市動物公園のレッサーパンダ風太(雄、11歳)が一躍人気者になって今年で10年。人間なら50~60代に当たり、孫やひ孫もできたが、あの立ち姿は健在だ。愛妻チィチィ(11歳)との間に恵まれた子孫は全国に散らばり、昨年は息子1匹が太平洋を越えて南米チリに渡った。
午後1時半、同園で人気の餌やりタイムが始まる。「実は奥さんの方が立ち上がるのが得意なんじゃないの?」。ベテラン飼育員、浜田昌平さん(53)が軽妙なトークで盛り上げながらリンゴを与えるショーは評判で、土日には200人以上の人だかりになる日もある。
浜田さんによると、レッサーパンダは後脚と尾でバランスを取るのが上手で、立つのは珍しくない。「幼かった風太は好奇心旺盛で、来園者の様子を見るために長く立っていたのが注目されたのかも」と分析する。
ぴんと直立する風太の姿が新聞やテレビで話題になったのは、2005年5月ごろからだ。缶コーヒーのCMにも登場するなど、ブームを巻き起こした。
チィチィとは仲むつまじく、子ども8匹が元気に成長。今も同じ動物園にいる息子クウタ以外は北海道から九州まで各地に嫁入りや婿入りした。昨年11月には息子コウタがチリの首都サンティアゴにある国立動物園に贈られた。孫やひ孫は国内に計約20匹いる。
レッサーパンダの平均寿命は約15年とされる。浜田さんは「年とともに少し落ち着いてきたけど、今でもやんちゃな姿は変わらない。多くの人に会いに来てほしい」と話している。〔共同〕