記事を読んで、髪を寄付しようと決めたと話す今関奈々子さん=兵庫県西宮市上ケ原一番町
日本新聞協会が、読んで幸せな気持ちになった新聞記事と理由を募った「HAPPY NEWS 2016」で、神戸市垂水区の関西学院大2年今関(いまぜき)奈々子さん(19)が「HAPPY NEWS大学生大賞(個人)」を受賞した。
ぼくが3年伸ばした髪、がん・脱毛症の子へ 寄付広がる
今関さんが選んだのは、病気などで髪に悩む子のウィッグ(かつら)用に、自分で伸ばした髪を寄付する「ヘアドネーション」の記事(1月15日付朝日新聞大阪本社版朝刊など)。
「髪を寄付することで誰かを笑顔にできる、私の髪を使ってヘアアレンジを楽しんでほしいと強く思った」とコメントを寄せた。
中学3年生から新聞を毎日読んでいるという今関さん。夕食後、いつものように番組欄を一枚めくり、社会面の「君に笑顔 私の髪で」の文字に目が釘付けになった。「『私の髪で』って何の記事だろう」
高校では陸上に打ち込み、大学生になったらロングヘアの巻き髪にしたいと、2年の冬から伸ばしてきた。もうすっかり長くなり、アレンジも楽しめる。
一方で家族に「見た目が重たい」「長い抜け毛を拾うのはたいへん」と言われ、そろそろ切ろうかなと思っていた矢先だった。
記事の内容に「私の髪、役に立つやん」と興奮した。「髪で悩む子がいるのは知らなかった。髪を邪魔なほど伸ばせるのはありがたいことなんだと、記事を通して思いをはせた」と振り返る。母に「私も寄付しようと思う」と話すと賛成してくれた。
行きつけの美容室でカットを頼み、髪の長い友人に「ゴミになるくらいなら贈らへん?」と勧めている。寄付できる長さの31センチまであと6センチ。でも「長い髪が必要って書いてあったから、できる限り伸ばし続けようかな」とも考える。
「私の髪で誰かが笑顔になってくれたら私も幸せ」
笑顔がはじけた。(寺尾佳恵)