鹿児島県屋久島町の口永良部島・新岳の爆発的噴火に伴う全島避難で、町は31日、避難した住民の代表ら27人を6月1日午前に一時帰島させる方針を明らかにした。1日朝の天候を見て、最終判断する。火山の監視や緊急時の支援として、自衛隊や鹿児島県警などのヘリコプター3機が上空から見守り、海上保安庁の巡視船も出動する。
口永良部島から避難した屋久島の公民館で、話をする少年とお年寄り(31日午後、鹿児島県屋久島町)=共同
町によると、島の本村地区に21人、湯向地区に6人がそれぞれ入る。1日午前8時半に屋久島を出る予定で、口永良部島には2時間半程度滞在する。島に暮らしていた消防団員や家畜を飼っていた住民、九州電力関係者らが漁船3隻に分かれて向かう。緊急時に備え、福岡管区気象台との連絡態勢も整えたという。
避難した住民には「ペットを残してきた」「家に鍵を掛けていない」など一時帰島を望む声が多く、荒木耕治町長は31日の記者会見で「要望に応えないといけない」と述べた。消防団員が避難者から要望を聞いており、帰島した人たちで手分けして各戸を回り、家の施錠やペット、家畜の様子を確認する。
町は気象庁側との協議で、2日以降になると天候の状況から一時帰島は難しいと判断した。住民の要望次第で再度の一時帰島も検討する。伊藤祐一郎県知事は町に「安全面に十分配慮してもらいたい」と要請した。
町は避難者の住まい確保にも着手。今週末を目標に、町内の公営住宅や旅館・民宿に移動してもらう案を軸に調整し、対象人数や希望の調査を進める。屋久島にある旅館や民宿などのうち16施設が受け入れ可能で、空き家の提供を申し出ている人もいるという。
町幹部は「避難所生活が長引くと精神、身体によくない。(避難から)1週間が限度だろう」と説明。全島避難は長期化の可能性が高く、住まいの確保で生活環境の改善を急ぐ。入居や宿泊の費用は行政が負担する。
町は避難した小中学生を屋久島の学校で6月1日から受け入れ、初日は授業を見学する。
新岳の爆発的噴火から一夜明けた口永良部島(30日午前)=共同
町によると、屋久島の避難所3カ所には、31日午後6時現在で64人が身を寄せている。
噴火当時、口永良部島には137人(うち19人は旅行などの一時滞在者)がいたが、いったん避難所に入った後、町内の親類を頼ったり、鹿児島市などに移ったりする人も増えている。〔共同〕