自民党の憲法改正推進本部の会合で、細田博之本部長のあいさつを聞く石破茂・元幹事長(右から2人目)=22日午後、東京・永田町、岩下毅撮影
自民党の憲法改正推進本部は22日、安倍晋三首相の9条改正案に沿って、戦力不保持を定める2項を維持して「自衛隊」を明記する方向で取りまとめる方針を決めた。新たに9条の2を設け、「(2項は)必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」と位置づけて自衛隊を保持する案が軸となる。
今後の対応一任を受けた細田博之本部長は25日の党大会での9条の条文案提示は見送り、党大会以降、最終的な条文案を作成する。
推進本部は22日の全体会合で、2項維持・自衛隊明記の二つの修正案を提示。前回示された2項維持案では、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」と定義したが、修正案では削除した。自衛隊が2項で保持を禁じる「戦力」に当たらないとする政府解釈を明記し、世論や他党の反発を和らげることを狙っていたが、自民党内から異論が出ていた。
この日は、修正案を中心に首相案を支持する意見が多数を占めた。2項削除論を展開する石破茂・元幹事長らから意見集約に反対する意見も出たが、細田氏が一任で押し切った。執行部の説明によると、修正前の2項維持案と二つの修正案のうち、どれを選ぶかに対応が一任された。細田氏は会合後、記者団に「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とした修正案を採用する意向を表明した。
9条改正案の一任を受けて、参院選の「合区」解消など▽大規模災害時に政府に権限を集中したり、国会議員の任期特例を書き込んだりする緊急事態条項▽「教育無償化」を含めた自民党の「改憲4項目」の条文化にはめどが立った形となった。今後は、連立与党の公明党との協議や国会の憲法審査会での議論を目指すが、各党には改憲4項目に対する反対論が根強く、国会での発議が見通せない状況は解消されていない。(二階堂勇)
自民党憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案
9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。