【ワシントン=川合智之】米議会上院は31日、情報機関などがテロリストの捜査目的で一般市民の通話記録を収集するのを認める「愛国者法」の規定に関する審議を再開した。規定が6月1日午前0時(日本時間午後1時)に失効するためで、日曜日の審議は異例。延長で合意できなければ、当局の情報収集活動による捜査は一部停止に追い込まれる見通しだ。
米中央情報局(CIA)のブレナン長官は31日の米CBSテレビの番組で「(情報収集は)国民生活にとって重要だ」と訴え、法律の延長を呼びかけた。ただ上院では2016年大統領選に出馬表明したランド・ポール上院議員(共和党)らが強く抵抗、ブレナン氏は「政治的なスタンドプレーだ」と批判した。
01年の米同時テロを受けて成立した愛国者法の規定に基づき、米国家安全保障局(NSA)は一般市民の通話履歴を秘密裏に大量収集していた。ただ13年にCIA元職員スノーデン氏の暴露で発覚。オバマ米大統領は情報収集活動を見直す案をまとめ、案に基づき下院は新たな法案を可決した。