【ソウル=加藤宏一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は3日、感染が広がっている中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)について、政府や医療機関の代表らを集めた緊急点検会議を開いた。朴大統領は「(感染が)これ以上拡散しないように万全を期すべきだ」と述べ、隔離体制の強化を指示。感染拡大に対応するため、政府や医療機関代表らで構成するタスクフォース(作業部会)をつくる方針を決めた。
韓国政府によると、3日現在の感染者は前日から5人増の30人。5人のうち、最初の患者から感染した人物を介してさらに感染が広がる「3次感染者」1人が含まれる。感染した疑いのある人は398人にのぼり、施設や自宅での隔離措置の対象となった人は1300人を超えている。
影響は広がっている。韓国政府によると、3日午前の時点で、ソウル首都圏の京畿道を中心に韓国の幼稚園から大学まで230の教育施設が臨時休校になった。政府が設けたコールセンターには2日に1107件の相談があり、5月30日の2.4倍に拡大している。
今回のMERSの感染拡大を巡っては政府の初動対応に対する批判も高まっている。野党の新政治民主連合は3日、「最初の感染者の発生が確認されてから13日も過ぎているのにいつまで政府は『点検』だけするつもりなのか」と批判。「今は点検するだけでなく、準備しなければならない対策でこれ以上の拡大を抑えるために孤軍奮闘すべき時だ」と訴えた。