カネミ油症の患者らが原因企業「カネミ倉庫」(北九州市)に賠償を求めた訴訟の最高裁決定で原告敗訴が確定したことを受け、原告団共同代表の森田安子さん(61)=福岡県大牟田市=は3日、「最高裁は苦しむ患者の声を聞いてくれると思っていた。非常にショックだ」と話した。
最高裁が支持した一審判決は、患者らの損害賠償請求権を認める一方、請求権が存続する除斥期間(20年)の経過を理由に訴えを退けた。原告側弁護団の一人は「除斥期間は見直しに向けて検討が始まっている。現状を追認するだけの判断に憤りを覚える」と述べた。
カネミ油症は、カネミ倉庫製造の食用米ぬか油にポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類が混入し、油を使った料理を食べた約1万4千人が健康被害を訴えた大規模な食品公害。2012年に初の公的救済となる被害者救済法が成立した。〔共同〕